八ヶ岳(長野県)救助活動あり

  こんにちは。東部町のかねこです。クライミングに燃えております

か?暖かくなりましたら、またご指導のほど、宜しくお願いします。



  さて、1ヶ月ぶりにとれたこの2連休、11〜12日と、八ヶ岳・赤岳の天

狗尾根を登り、真教寺尾根を下る計画で入山してまいりましたが、

ちょっといろいろありましたので参考までにご報告いたします。



  初日、「美しの森」に車を停め、林道ゲートを通り沢沿いに足をすす

め、「出合小屋」へ、この日はほとんどラッセルなし。赤岳沢へ入って

から一つ目の広い沢を天狗尾根目指して取り付く。天狗尾根の「カニの

ハサミ」と呼ばれる岩の直下でツェルト泊。

  16時に取った天気図では前線を伴った低気圧が近づいてきておりまし

たが、低気圧も時速55kmと動きが速く、高気圧との気圧差も20hp程度で

あったのであまり気にはとめない。

  しかし、夜半からサラサラと粉雪が舞い始め、朝方には新雪が10cm以

上積もり、ガスの中に不気味に浮かぶカニのハサミも、昨日は黒々とし

ていたのに今朝は白黒まだらに雪化粧が施されている。

  出発7:15。カニのハサミを西側から巻くが、リッジでアンザイレンす

る。直後に現れる斜面着9:15。直登10m。トポでは「問題なく越えられ

る」と書かれているところであるが、氷壁の上に新雪が乗った状態でと

てもしょっぱい。氷にピッケルを打込みながら登って行く。直後のリッ

ジはアンザイレンしていく。

  暖かい日が続いて融けた雪が凍り、そこに新雪が積もった状態で普段

ならなんでもないコースが、ちょっとしたところでもザイルで確保せね

ばならなく、メンバーは4人(内2人が女性)であったため非常に手間

取る。

  次に現れる大岩(10:30着)は左上に向って走るバンド途中からルン

ゼを詰め直登するはずであったが、ルンゼ内は氷で覆われ、ハーケンも

打てず支点が取り難いので、フィックスの張ってある東側をトラバース

し、裏側の雪面を直登する。ここでルート探索、順番待ちなどで時間を

取られる。V級30m。コルのビレイポイントからはトラバースを含めて

50mロープいっぱいが出る。取り付きまでの岩場のトラバースはアイス

で覆われ厳しい。通過13:50。

  この時点で引き返すか、という声も現れたが、天気図から天気は悪化

しないことがわかっていたし、八ヶ岳歴20余年のベテランが「暗い中を

歩いても嫌でなければok」という言葉で続行することに。

  大天狗手前の岩基部からトラバース気味に登って行く予定であった

が、雪面が不安定であったので、迷わずアイゼンを外し、雪の少ない一

番手前の岩を確保しながら直登(U級)。そこから尾根沿いをアンザイ

レンして大岩を乗り越す。

  そして大天狗基部までの斜面も普段は気にも留めないようなところら

しいが、なにしろ氷と崩してもすぐ上から降りてくる新雪で不安定な

為、確保しながらトラバース気味に基部へ上がる。U〜V・10m。基部

着13:50。時間が気になってくる。

  ここからは直登するルートと東側のバンドを巻くルートがある。しか

し、大天狗東面の谷状のところは全て雪で覆われ、バンドも急な雪面で

覆われて通行不可となっていた。

  

  が、ここで一つ上のバンドへ直登しようとしていてハーケンが抜けて

リードが滑落、ビレイヤーが巻き込まれて滑落し腕を痛め三角巾で固定

して休んでいた2人パーティーにあう。岩がもろくてハーケンも抜けや

すく、ホールドもぼろぼろ落ちていくような困難なところである。

  負傷者は歩行可能であり自力下山が可能と判断し、大天狗を越え下山

するのがもっとも安全と考える。安全を考え、真教寺尾根はやめ、文三

郎から行者へ下ることにする。

  まずリードがロープを張ってプルージックで4人が先にバンドへ上が

り、もう一本別支点からロープを張ってサポートと負傷者を同時に引き

上げる。負傷している方は片手しか使えず、またバランスも悪いので、

ここから下山まで、負傷した女性とそのパートナーだけアンザイレンし

て進む。2人が先行してルートセットに入り、そして2人パーティー、そ

の後ろにサポートで私ともう一人が入る。大天狗を越えた時点で

16:00。

  ここから小天狗の西側を巻き、稜線まで上がる、16:30。見通しの良

いところからはDocomoの携帯が使えるので各山岳会に事故の連絡。

  八ヶ岳西面はやはり風が強く寒い。稜線途中から中岳方面へのトラ

バースルートは表層雪崩の心配が強く、また滑落の危険性も高かったの

で、赤岳直下の分岐(17:55)まで登り、中岳・文三郎の分岐目指して

下っていく。既に真っ暗、ガスの中に浮かぶヘッドランプだけを頼りに

進む。強い風によってみるみるトレースが消えていく。

  文三郎のいやらしい金網階段やはしごが全て雪で埋まってしまってい

たのが幸いで、この時ばかりは降雪に感謝する。樹林帯まで降りて、

やっとひと安心。行者小屋のテントの灯かりを見た時には、心底ほっと

したものです。行者小屋着19:00。これからまだ2時間以上歩くので燃料

補給。19:30発。

  

  美濃戸山荘(21:10着)から119へ電話し、救急車をまわしてもらう。

嘘みたいに澄んだ星空から照らされる凍った車道を降り、美濃戸口

(22:30着)で負傷者パーティーが救急車に乗り込むのを見届けてから、

我々もタクシーで一路茅野駅へ向う。そこから山岳会の仲間に迎えに来

ていただき、美しの森で車を回収して帰路に着く。そうこうして家に着

いたのが朝の3時でした。

 天候、ルート状況が悪くなかったのでなんとか無事に降りてまいりま

したが、事故に直面し、また実際の救助活動を通し、自分の登山へ対す

安全意識・技術はまだまだであるなぁ、と実感いたしました。これから

も精進して、安全に楽しく山と接していけるよう頑張っていきたいと思

いますので、皆様、ご指導のほど、宜しくお願い申し上げます。

  

  長々と申し訳ございませんでした。

  金子  政夫